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水産庁

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(4)漁村が有する地域資源

ア 漁村の地域資源

〈漁村は新鮮な水産物や豊かな自然環境など多くの地域資源を有している〉

漁村は、水産業の拠点として重要な役割を果たしているだけでなく、地域で獲れる四季折々の新鮮な水産物や水産加工品、水産物の市場への水揚げの風景、非日常の漁業体験等他の地域にはみられない様々な特徴を有しています。また、狭隘な土地における高密度な集落は漁業等と一体となった独特の景観・空間を形成しているほか、豊かな自然環境や、それらを含む漁村の景観には独自の魅力があります。さらに、漁村には、釣り、潮干狩り、海水浴等の親水性レクリエーションの機会など地域外の人々を惹きつける楽しみがあります。くわえて、古くから漁村の営みを通じて大漁や航海の安全を祈願した地域の伝統的な行事やそこで獲れる水産物を活用した伝統料理等が育まれてきており、これらは旅行客に対する魅力の一つとなっています(図表特-1-8)。

漁村の活性化を図っていくためには、それぞれの漁村が有する地域資源を十分に把握し最大限に活用することが重要です。

図表特-1-8 漁村に存在する地域資源の例

図表特-1-8 漁村に存在する地域資源の例
伝統的な郷土料理の例
いかめし(北海道)
イカナゴのくぎ煮(兵庫県)
ふかの湯ざらし(愛媛県)
あぶってかも(福岡県)
  1. 画像:農林水産省Webサイト「うちの郷土料理」

イ 漁村の地域資源のニーズをめぐる状況

〈漁村の交流人口は約2,000万人〉

漁村の賑わいの創出のため、全国の漁村には、水産物直売所等の交流施設が整備されており、近年その施設数は増加傾向で推移しています。このような施設の増加等もあり、都市漁村交流人口は、近年は増加傾向で推移しており2千万人前後となっています(図表特-1-9)。

図表特-1-9 全国の漁港及びその背後集落における水産物直売所等の交流施設及び漁村の交流人口

図表特-1-9 全国の漁港及びその背後集落における水産物直売所等の交流施設及び漁村の交流人口

〈国民の旅行に対するニーズは高い〉

国民のレジャーに対するニーズは高く、今後の生活においてどのような側面に力を入れたいかという調査では、レジャー・余暇生活は、食生活、住生活、耐久消費財等を上回っています(図表特-1-10)。

また、自由時間が増えた場合にしたいことの調査では、旅行と回答した者は約48%と最も多く、旅行に対するニーズは高いことがわかります(図表特-1-11)。国内の延べ旅行者数の推移を見ると、令和2(2020)及び3(2021)年は新型コロナウイルス感染症の影響により一時的に減少したものの現在は回復基調にあり、令和4(2022)年は約4億2千万人となっています(図表特-1-12)。

図表特-1-10 今後の生活の力点

図表特-1-10 今後の生活の力点

図表特-1-11 自由時間が増えた場合にしたいこと

図表特-1-11 自由時間が増えた場合にしたいこと

図表特-1-12 国内の延べ旅行者数の推移

図表特-1-12 国内の延べ旅行者数の推移

〈旅行の目的として食や自然・景観に対するニーズが高い〉

漁村に来訪する旅行者はどのようなものを求めているのでしょうか。農山漁村に行ったことのある人・行ってみたい人に対する調査では、農山漁村における旅行先で楽しみにしていることは、地元の素材を使ったおいしいものを食べるなど食に対するニーズが約83%と最も高く、漁村等の景観を見ることや自然の豊かさの体験などの自然・景観に対するものが約49%、歴史・文化的なものが約47%とニーズが高く、新鮮な魚介類を食べることや漁村の景観を眺めるために漁村に来訪するニーズがあることがわかります(図表特-1-13)。

また、国内旅行における消費額の内訳では、飲食費及び買物代がそれぞれ約15%、娯楽等サービス費が約7%を占めています。買物代の内訳を見ると、水産物が約5%となっています(図表特-1-14)。

図表特-1-13 旅行において楽しみにしていること

図表特-1-13 旅行において楽しみにしていること

図表特-1-14 国内旅行の旅行消費額の内訳

図表特-1-14 国内旅行の旅行消費額の内訳

〈釣り人口は約870万人〉

釣り等の親水性レクリエーションは、漁村に多くの来訪者をもたらします。釣りは従来から人気のあるレクリエーションであり、令和3(2021)年の調査では、調査期間の1年間に釣りを行った者は約870万人とされています(図表特-1-15)。また、釣り具の市場規模は1,970億円*1と推計されています。

  1. 公益財団法人日本生産性本部「レジャー白書2023」 令和4(2022)年の市場規模の推定値。

図表特-1-15 釣り人口の推移

図表特-1-15 釣り人口の推移

プレジャーボートを利用したレクリエーション活動は、高度経済成長期には急速に拡大し、プレジャーボートの隻数は同様に急増の後、減少したものの、近年は横ばい傾向で推移しており、令和4(2022)年度末のプレジャーモーターボート、特殊小型船舶及びプレジャーヨットの合計は、約21万隻となっています(図表特-1-16)。

図表特-1-16 プレジャーボートの隻数の推移

図表特-1-16 プレジャーボートの隻数の推移

〈漁村は増加するインバウンド需要を満たす可能性がある〉

我が国の人口は減少傾向で推移する一方、訪日外国人旅行者数は、近年増加傾向で推移しています。新型コロナウイルス感染症の影響により令和2(2020)年以降急減したものの、現在は回復傾向にあり、増加するインバウンド需要を地域に取り込むことで地域の活性化が期待されます(図表特-1-17)。また、観光・レジャー目的で訪日し、訪日回数が2回以上の「訪日リピーター」の割合は年々上昇傾向にあり、令和元(2019)年は約6割となっています。訪日リピーターは、東京都、大阪府・京都府、愛知県等の三大都市圏以外の地方に訪問する割合が高く、地方へ訪れる観光客の潜在的な需要が期待されます(図表特-1-18)。

観光・レジャー目的で訪日する外国人の1人1回当たり旅行消費単価は約15万5千円であり、買物代が約5万6千円、飲食費が約3万3千円、娯楽等サービス費が約6千円となっています(図表特-1-19)。また、日本の滞在中にしたことでは、「日本食を食べること」、「自然・景勝地観光」、「ショッピング」等の割合が高くなっており、次回日本を訪れたときにしたいことでは、「温泉入浴」、「自然体験ツアー・農漁村体験」等の割合が今回したことの割合を上回っていることなどから、漁村がそれらのニーズを満たす可能性は十分に考えられます(図表特-1-20)。

図表特-1-17 訪日外国人旅行者数の推移

図表特-1-17 訪日外国人旅行者数の推移

図表特-1-18 訪日リピーターの推移と訪問先の変化

図表特-1-18 訪日リピーターの推移と訪問先の変化

図表特-1-19 訪日外国人の1人1回当たり旅行消費単価の内訳

図表特-1-19 訪日外国人の1人1回当たり旅行消費単価の内訳

図表特-1-20 訪日外国人が日本滞在中にしたこと、次回したいこと

図表特-1-20 訪日外国人が日本滞在中にしたこと、次回したいこと

お問合せ先

水産庁漁政部企画課

担当者:動向分析班
代表:03-3502-8111(内線6578)
ダイヤルイン:03-6744-2344