はじめに
我が国の水産業は、水産資源の不安定化、漁業就業者の減少及び気候変動等、これまでにない複合的な課題に直面しています。
一方、世界においては、人口増加等を背景に、国際的な水産物需要は増加しています。こうした需要拡大を背景に、各国では水産物の生産体制の強化が進んでいます。
こうした世界の動きの中で、各国において養殖業による水産物供給の重要性が高まっています。技術開発の進展や生産の効率化等により、養殖業は量的拡大と品質向上の両面から期待される分野として位置付けられ、将来にわたって安定的に水産物を供給していくための有力な手段として、改めて注目されています。
我が国においても、国内外の需要に応える生産体制を確立する上で、養殖業の振興は重要な政策課題となっています。養殖魚の品質向上、ICTを用いたスマート水産業の推進及び世界市場への販路拡大等、養殖業の成長産業化に向けた取組をより一層進めることが重要となっています。
このような情勢を踏まえ、本書では、「養殖業の成長産業化に向けた対応」を特集のテーマとして、養殖技術立国の確立に向けた育種や輸出拡大等の取組や施策、社会実装の実現に向けたウナギの完全養殖の取組、陸上養殖の今後の可能性等について記述しています。
また、トピックスでは、令和7(2025)年度における特徴的な動きとして、「複合的な漁業の推進や養殖業の成長産業化に向けた漁業共済の機能強化」、「「昭和100年」高度経済成長期を支えた近代捕鯨」、「IUU漁業撲滅に向けた取組」、「水産業の担い手の確保」の四つのテーマを取り上げています。
特集、トピックスに続いては、「我が国の水産物の需給・消費をめぐる動き」、「我が国の水産業をめぐる動き」、「水産資源及び漁場環境をめぐる動き」、「水産業をめぐる国際情勢」、「漁村の活性化をめぐる動き」、「大規模災害からの復旧・復興」の章を設けています。
本書を通じて、水産業についての国民の関心がより高まるとともに、我が国の水産業への理解が一層深まることとなれば幸いです。
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