このページの本文へ移動

水産庁

メニュー

(7)水産物の加工・流通の動向

ア 水産物流通の動向

〈卸売市場は水産物の効率的な流通において重要な役割〉

水産物の流通は漁業者と一般消費者とをつなぐ重要な役割を果たしています。とりわけ、卸売市場には、1)商品である漁獲物や加工品を集め、ニーズに応じて必要な品目・量に仕分けする集荷・分荷の機能、2)旬や産地、漁法や漁獲後の取扱いにより品質が大きく異なる水産物について、公正な評価によって価格を決定する価格形成機能、3)販売代金を迅速・確実に決済する代金決済機能、4)川上の生産や川下のニーズに関する情報を収集し、川上・川下のそれぞれに伝達する情報受発信機能があります。多様な魚種が各地で水揚げされる我が国において、卸売市場は、水産物を効率的に流通させる上で重要な役割を担っています(図表2-18)。

卸売市場は、漁業者が水揚げした漁獲物の集荷、選別、販売等を行う「産地卸売市場」と産地卸売市場等から出荷された多様な水産物を集荷し、用途別に仕分け、買受人(仲卸業者、小売業者等)に販売する「消費地卸売市場」があります。水産物は資源変動や季節、気象、海況等により水揚げが変動しやすく保存性が乏しいことに加え、水揚げ場所が港(漁港等)に限定される特性を有していること等から、一部の養殖水産物を除き、漁港等に多く設置される産地卸売市場を経由した流通形態が大半を占めています(図表2-19)。

産地卸売市場においては、取引規模の小さい市場が多く、価格形成力が弱い、販売体制維持のための固定経費や保冷に係る流通経費が負担となる等の課題があることから、市場の統廃合や業務の効率化等により市場機能の維持・強化や価格形成力の強化を図っていくことが求められます。

事例電子入札の導入

千葉県銚子(ちょうし)市の銚子市漁協では従来紙入札が行われていましたが、仲買人による入札用紙への記入や投函場所への移動、市場職員による手作業の開札・仕分け作業が必要であり、多くの時間を要していました。そこで、キンメダイ、マダイ、ヒラメ等の底びき網漁獲物を対象に電子入札を導入し、作業時間の短縮を図りました。同漁協における電子入札では、ブラウザ上に専用ページを開設しており、当日販売される魚種名や数量が漁船ごとに表示されます。電子入札を導入したことで、仲買人は現場で実物を確認後、その場でスマートフォンにより応札することが可能になりました。また、職員による紙札の仕分け作業が不要になったことから、入札結果発表までの時間を従来の半分以下に短縮することができました。

図表2-18 水産物の一般的な流通経路と水産物卸売市場の整理図

図表2-19 産地卸売市場における市場数及び市場経由率の推移

イ 水産加工業の動向

〈水産加工品の生産量は減少傾向〉

我が国の食用魚介類の国内消費仕向量の約7割は加工品として供給されており、水産加工品は、水産物における重要な役割を担っています。また、腐敗しやすい水産物の保存性を高める、家庭での調理の手間を軽減するといった機能を通じ、水産物の付加価値の向上に寄与しています。

食用魚介類の国内消費仕向量が減少する中、水産加工品の生産量も総じて減少傾向にあります。水産加工品は、生鮮の水産物を丸魚のまま、又はカットやすり身にしただけで凍結した生鮮冷凍水産物のほか、ねり製品や冷凍食品等に加工された食用加工品まで多様な形態で生産されています(図表2-20)。

図表2-20 水産加工品のうち、食用加工品生産量の内訳の推移

〈水産加工業の加工原材料の安定的な確保や従業員不足が重要な課題〉

水産加工場の多くは沿海地域に立地しており、漁業とともに漁村地域の活性化に寄与しています。また、水産加工業は漁業とともに水産業の車の両輪を担っています。特に近年は、消費者の食の簡便化志向の高まり等により、水産物消費における加工の重要性は高まっており、多様化する消費者ニーズを捉えた商品開発が求められています。こうした中、全国水産加工業協同組合連合会と水産研究・教育機構は、都道府県試験研究機関等の協力を得て、全国で生産される水産加工品のデータベースを作り、基礎的な加工技術や応用技術を「水産加工品図鑑」としてウェブ公開しました。消費者の水産加工品に対する理解促進に寄与することが期待されています。

近年では、経営体力不足、従業員不足、原材料の調達難等が水産加工業の課題となっています。このため、生産・加工・流通・販売が連携しマーケットニーズに応えるバリューチェーンの構築等の取組や、産地全体の機能強化に資するよう、水産加工業協同組合等が漁協等と連携して行う取組を支援しています。

労働力の確保に関しては、省人化・省力化を図るためのICT、AI、ロボット等の新技術の開発・活用・導入を進めていくとともに特定技能外国人等の円滑な受入れ、共生を図る取組が進められています。また、市場や水産加工場では、漁獲量や消費動向等により変動する労働力に対応し、短時間・短期間で雇用するスポットワークの活用も広がり始めています。

さらに、近年のスルメイカ、サンマ等の不漁による加工原材料不足の問題に対し、資源状況のよい魚種への加工原材料の転換等の推進を図り、原材料転換に対応した生産体制を構築するため、魚種の転換に係る機器整備や水産加工業者への加工原材料の安定供給等の取組を支援しています。

くわえて、産地全体の機能強化・活性化を図るためには、産地の取りまとめ役となる中核的人材や次世代の若手経営者を育成することも必要です。このため、各種水産施策や中小企業施策の円滑な利用が進むよう、国及び都道府県にワンストップ窓口を設置し、水産加工業者の悩みや相談に迅速かつ適切に対応していくこととしています。

お問合せ先

水産庁漁政部企画課

担当者:動向分析班
代表:03-3502-8111(内線6578)
ダイヤルイン:03-6744-2344