(1)水産業における東日本大震災からの復旧・復興の状況
〈全ての漁港において漁港施設の復旧が完了〉
平成23(2011)年3月11日に発生した東日本大震災による津波は、豊かな漁場に恵まれている東北地方太平洋沿岸地域を中心に、水産業に甚大な被害をもたらしました。
政府は、令和3(2021)~7(2025)年度までの5年間を「第2期復興・創生期間」と位置付け、被災地の復興に向け取り組んでいます。
これまで被災地域では、漁港施設、漁船、養殖施設、漁場等の復旧が積極的に進められており、被災した全ての漁港における漁港施設の復旧や再開を希望する漁業者に対する漁船の復旧が図られるなど、復旧・復興に向けた取組が進展しています(図表6-1)。
政府は、引き続き、被災地域の水産業の復旧・復興に取り組むこととしています。
図表6-1 水産業の復旧・復興の進捗状況(令和7(2025)年3月取りまとめ)

被災した漁港のうち、水産業の拠点となる漁港においては、流通・加工機能や防災機能の強化対策として、高度衛生管理型の荷さばき所や耐震強化岸壁等の整備を行うなど、新たな水産業の姿を目指した復興に取り組んでいます。このうち、高度衛生管理型の荷さばき所の整備については、流通の拠点となる8漁港(八戸(はちのへ)、釜石(かまいし)、大船渡(おおふなと)、気仙沼(けせんぬま)、女川(おながわ)、石巻(いしのまき)、塩釜(しおがま)、銚子(ちょうし))において実施し、全漁港で供用されています。
一方、被災地域の水産加工業においては、令和6(2024)年1~2月までに実施した水産加工業者における東日本大震災からの復興状況アンケート(第11回)の結果によると、生産能力が震災前の8割以上まで回復したと回答した水産加工業者が約7割となっているのに対し、売上げが震災前の8割以上まで回復したと回答した水産加工業者は5割であり、依然として生産能力に比べ売上げの回復が遅れています。県別に見ると、生産能力について福島県の回復が他の5県*1に比べ遅れています(図表6-2)。また、売上げが戻っていない理由としては、「原材料の不足」、「人材の不足」及び「販路の不足・喪失」の3項目を回答した者が多くなっています(図表6-3)。このため、政府は、引き続き、加工・流通の専門家による個別指導、セミナー・商談会の開催、省力化や加工原料の多様化、販路の回復・新規開拓に必要な加工機器の整備等により、被災地域における水産加工業者の復興を支援していくこととしています。
- 青森県、岩手県、宮城県、茨城県及び千葉県。
図表6-2 水産加工業者における生産能力及び売上げの回復状況

図表6-3 水産加工業者の売上げが戻っていない理由(複数回答可)


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