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水産庁

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水産業・漁村地域の活性化を目指して
―令和7(2025)年度農林水産祭受賞者事例紹介―

天皇杯受賞(水産部門)

経営(漁業経営改善)
浪井丸天(なみいまるてん)水産(代表:浪井(なみい)大喜(だいき)さん)

佐伯(さいき)市蒲江(かまえ)は大分県の南東端に位置しています。豊後水道の豊かな漁場が沖合に広がり、沿岸部には日本有数のリアス海岸が発達しています。浪井丸天水産が所在する蒲江(下入津(しもにゅうづ))では、海面でブリやシマアジ、陸上でヒラメやトラフグ等の養殖が盛んです。

浪井丸天水産では4kgサイズのハマチ生産に特化した小型ブリ養殖を行い、生産物をブランド化して販売しています。経営規模は小さいですが、加工や流通業務にも人員を配置し、生産、加工、流通の一貫体制を構築しています。現代表である浪井さんが事業承継し、本取組を開始した当初と比較して養殖ブリの出荷尾数は約4.3倍となり、売上金額は約3倍に増加しました。また、従業員構成は親族を中心とした11名となっており、平均年齢が32歳と非常に若いです。

まず、流通改善の取組として、ターゲット層を定めて開拓した取引先からの要望を反映して、生産する魚のサイズ決定や、求められる身質・鮮度のための飼料開発、自社による加工への切り替えを行う等、マーケットインの発想に基づく養殖業を実現しています。

くわえて、種苗の採捕から養殖、販売までのサプライチェーンを全て自社内で完結することで、諸段階で発生する経費や付加価値を的確に把握した上で販売先と取引することができ、利益率の高い価格決定等に成功し、収益性の高い安定した経営体制を構築しています。

職場環境の充実に積極的に取り組んでおり、事務所には横になれる休憩スペースやコーヒーメーカー等を設置し、さらに子育て中の従業員のための託児環境も整えています。また、敷地内には健康増進のためのジム、商品の試作やPR動画の撮影等、集まって食事のできるキッチンスタジオを整備しています。

現時点では台湾へのチルド輸出が好調であり、ブランドの特色である鮮度を活かしたチルド輸出の拡大を模索しています。今後、需要増に伴って生産の拡大が必要になれば、地域内の養殖業者と協力しながら、小型養殖ブリの生産を広げていく方針です。ニッチな需要に注目し、独自の市場を開拓していくという視点を持った本取組は、他の小規模養殖経営体においても参考になると考えられます。

内閣総理大臣賞受賞(水産部門)

技術・ほ場(資源管理・資源増殖)
鴨川(かもがわ)市漁業協同組合 太海(ふとみ)エビ網組合(代表:江澤(えざわ)誠(まこと)さん)

鴨川市は千葉県南部に位置し、太平洋に面した温暖な気候と豊かな自然環境に恵まれています。取組の対象地域である太海地区は、海士(あま)、刺し網、見突(みつ)き、採藻、一本釣り等の漁業が営まれる漁村であると同時に、眼前の仁右衛門島(にえもんじま)や太海海岸には多くの釣り客や海水浴客が訪れる観光地としても知られています。

鴨川市漁協太海支所の下部組織である太海エビ網組合は現在18名の漁業者で構成されており、イセエビ刺し網漁業の資源管理や安全操業のためのルール決め、刺し網資材の共同購入、操業可否の判断等を行っています。当組合の代表である江澤誠さんは、家業である旅館業に従事する傍ら、平成28(2016)年から本格的に漁業に参入しています。

太海エビ網組合では公平な漁場利用と小型船による操業の安全を確保するため、操業ルール等を決める際に徹底的に話し合い、6グループ編成のローテーションでの漁場利用や、操業状況・流通実態を踏まえて刺し網の反数(たんすう)を決める等、組合員全員が資源管理の取組内容や効果をしっかりと理解しています。また、入手が難しく維持管理に手間はかかるものの、生分解性でゴーストフィッシングを防ぐ効果がある綿糸網(めんしあみ)を利用しています。さらに、綿糸網は伸縮しづらく切れやすいため、イセエビが掛かりにくく、獲りすぎを防ぐ効果もあることから、資源管理にも一役買っています。

太海エビ網組合による合意形成の仕組みや、水産資源や海洋環境にも良好に働く綿糸網の使用により、経年の変化や年間の変化を見ても安定した漁獲が行われ、漁家経営にもプラスに作用している点が漁村の自主的な資源管理の成功事例として高く評価されました。

日本農林漁業振興会会長賞(水産部門)

産物(水産加工品)
株式会社 山賀(やまが) (代表:山賀(やまが)竜郎(たつお)さん)

株式会社山賀は平成20(2008)年に設立され、「下関(しものせき)自慢を味で表現する」というスローガンを掲げ、下関で集積される水産物の加工販売を行ってきました。鯨については当初は他社に加工を委託して販売のみを行っていましたが、商業捕鯨が再開されたことから、スライサーを導入し自社での加工に切り替え、ベーコンや竜田揚げ等の商品を加工販売するようになりました。

受賞財は、皮・さえずり肉(舌)・須の子(あご肉)と食感と味が異なる部位を組み合わせた商品です。この3部位は鯨の中ではこれまで利用価値が低い部分であり、有効利用するために商品として開発されました。幅広い消費者への鯨食普及を目指し、酒の肴ではなく一般家庭の夕食で使用されやすいしゃぶしゃぶ用の食材として手ごろな価格で提供しています。スライサーの設定や原料解凍状態の調整の試行錯誤を重ね、それぞれの部位がしゃぶしゃぶとして最適な食感となるよう仕上がっています。

鯨は、地元下関の伝統ある水産物ですが、若い世代にはなじみの薄い食材でした。そこで、株式会社山賀は山口県の小中学校給食への鯨加工品の提供にも積極的に対応し、若い世代への鯨食の普及に努めています。今後、幅広い世代への鯨食材の普及により、本受賞財のような家庭向けの鯨食材が普及することが期待されます。

お問合せ先

水産庁漁政部企画課

担当者:動向分析班
代表:03-3502-8111(内線6578)
ダイヤルイン:03-6744-2344