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水産庁

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(4)令和6年能登半島地震からの復旧・復興に向けた対策の推進

ア 水産業に関する被害の状況

〈漁港施設等への被害〉

令和6(2024)年1月1日に石川県能登地方で発生した地震(以下「本地震」といいます。)では、能登半島の広い範囲で津波による浸水が見られ、石川県珠洲(すず)市や能登町(のとちょう)では4m以上の津波の浸水高が、新潟県上越(じょうえつ)市では5m以上の遡上高*1が観測され、また、能登半島の外浦(そとうら)地域の海岸等において、地盤隆起が発生しました(図表6-7)。

こうした状況の中、水産関係では、新潟県、富山県、石川県及び福井県の4県で被害が発生し、漁港施設では、防波堤、岸壁、物揚場、臨港道路等が損傷しました。特に石川県では、県内の69漁港のうち60漁港に被害が発生するなどその被害は広範囲にわたりました。輪島(わじま)市や珠洲市を中心とした外浦地域においては、地盤隆起による施設の被害が発生し、海底の露出や水深不足により漁船等の泊地等の利用が困難な状態となりました。能登町、七尾(ななお)市を中心とした内浦(うちうら)地域では、地震動による被害のほか、津波による被害も多く発生し、大量のがれきや泥が漁港内等に堆積しました。

  1. 津波が海岸に到達後、陸地をはい上がり、最も高くなった地点の高さを、平常潮位面から計測した高さ。

図表6-7 津波の浸水高・遡上高及び漁港における地殻変動


イ 水産業の復旧・復興に向けた取組

〈漁港施設の復旧・復興に向けた取組〉

石川県の能登半島北部の6市町(輪島市、珠洲市、穴水町(あなみずまち)、能登町、七尾市及び志賀町(しかまち))について、当面の操業に必要な漁港施設や共同利用施設の復旧の進捗により、漁獲が順調に回復しています。

漁港施設の復旧・復興に当たり、本地震は、地震の揺れや津波による被害に加え地盤隆起による被害が特徴的であり、このような地盤隆起に対応する知見がないことから、水産庁では、令和6(2024)年5~7月にかけて、令和6年能登半島地震漁業地域復旧・復興技術検討会を3回にわたって開催し、地盤隆起等による被害を受けた漁港の復旧・復興の技術的な方法、手順等について検討を行いました。同検討会では、地盤隆起等の甚大な被災を受けた漁港における漁港の復旧・復興の基本的な考え方として、短期的な生業再開のための仮復旧と、中長期的な機能向上のための本復旧の二つのフェーズに分けた復旧の考え方を提示するとともに、漁港施設の被害状況、被災パターンの分析、被災パターンに応じた復旧方法・手順等について検討した結果を石川県が設置した能登の水産関係港の復興に向けた協議会に提示しました。

漁港の復旧については、地盤隆起等により甚大な被災を受けた石川県の外浦地域の16漁港のうち、復旧方針の定まった11漁港について順次復旧工事に着手しています。

地盤隆起のない漁港については、必要に応じて応急工事等を実施し、漁業再開に必要な陸揚げが可能となっており、今後、順次本復旧工事に着手し、着工後おおむね3年間(令和9(2027)年度まで)で復旧工事の完了を目指すこととしています。

また、令和6(2024)年1月19日に、本地震が非常災害として指定されたことにより、国による災害復旧事業の代行が可能となりました。これを受け、石川県管理の狼煙(のろし)漁港及び珠洲市管理の鵜飼(うかい)漁港海岸について、石川県知事及び珠洲市長からの要請を受け、水産庁が代行工事を実施しています。具体的には、狼煙漁港において航路及び泊地を浚渫(しゅんせつ) し、漁船の避難機能の一部を回復したほか、岸壁の仮復旧を完了し陸揚げ機能の一部を回復しました。また、鵜飼漁港海岸において工事の実施に向けた詳細な現地調査、設計等を実施しました。引き続き、漁港及び漁港海岸の機能の回復に向けた復旧工事を行っていくこととしています。

このほか石川県でも、操業の更なる回復に向けて輪島港の物揚場等の復旧工事を進めており、国土交通省、石川県、輪島市が令和7(2025)年6月に策定した「輪島港復旧・復興プラン」では中長期的な基本方針として、浚渫土で造成した埋立地に共同利用施設を移転・集約し、機能強化を図ることとしています。

一方で、本地震やその後の奥能登豪雨による山腹崩壊箇所から土砂が流入して漁場に土砂が堆積し、海女漁に支障が生じる事態が発生しています。

このため、令和7(2025)年11月27日に林野庁、水産庁、石川県で構成する「輪島港周辺の藻場への土砂流出抑制に向けた連絡協議会」を開催し、土砂の堆積状況に関する調査結果や山腹崩壊箇所の情報について情報共有するとともに、漁場へ影響を及ぼすと考えられる治山工事箇所について早期復旧を図ることとしています。

〈被災地域の水産業の復旧・復興に向けて〉

被災地域の水産業の早期の復興を図ることは、地域経済や生活基盤の復興に直結するだけでなく、国民に対する豊かな水産物の安定的な供給を確保する上でも、極めて重要な課題です。

被災した水産関係者の方々が、困難を乗り越え、将来への希望と展望をもって水産業を再開できるよう、政府としても、漁業及び水産加工・流通業の再建や、漁港、漁場、漁船、養殖施設はもとより、漁村全体の復旧・復興に取り組むこととしています。

漁業・漁村の復旧・復興に際しては、生業の場としての漁場と漁港は、生活の場としての漁村集落と一体性があるため、漁港、製氷冷凍冷蔵施設等の共同利用施設等の漁業に必要となる施設と、漁村集落のインフラの在り方について、漁業者、漁協等の漁業関係者だけでなく、漁村集落に居住する地域住民も含めた関係者全体で議論していくことが必要となります。

令和6(2024)年2月22日には、内閣府と内閣官房が、「復興まちづくりに当たっての参考資料」を作成し、被災した地方公共団体に情報提供を行い、関係府省が連携の上、被災した地方公共団体の復興まちづくりを継続的に支援することとしています。農林水産省としても、被災した地方公共団体が、これを参考にして地域の実情に応じ創意工夫が施された復興まちづくりを進められるよう、地域の計画の策定、事業の実施について、丁寧に相談に応じていくこととしています。また、被災地域の漁業関係者をはじめとした地域住民の方々が、各地域で議論して描いた姿を実現するための支援を、各地域の実情を踏まえつつ行っていくこととしています。

お問合せ先

水産庁漁政部企画課

担当者:動向分析班
代表:03-3502-8111(内線6578)
ダイヤルイン:03-6744-2344