(3)実効性ある資源管理のための取組
〈密漁への対策〉
水産庁が都道府県を通じて取りまとめた調査結果によると、令和6(2024)年の全国の海上保安部、都道府県警察及び都道府県における漁業関係法令違反(以下「密漁」といいます。)の検挙件数は1,702件(うち海面1,661件(被疑者不詳等の65件含む。)、内水面41件)となりました。近年は漁業者による違反操業が減少している一方、漁業者以外による密漁が増加し、漁業者による密漁の件数との差は年々開いていく傾向にあります(図表3-14)。近年は、密漁の手口が悪質化・巧妙化している傾向があります。
図表3-14 我が国の海面における漁業関係法令違反の検挙件数の推移
アワビ、サザエ等のいわゆる磯根資源は、多くの地域で共同漁業権の対象となっており、関係漁業者は、種苗放流、禁漁期間・区域の設定、漁獲サイズの制限等、磯根資源の保全と管理のために多大な努力を払っています。一方、これらの磯根資源は容易に採捕できることから密漁の対象とされやすく、組織的な密漁も横行しています。また、資源管理のルールを十分に認識していない一般市民による個人的な消費を目的としたものも各地で発生しています。このため、水産庁では、一般市民に対するルールの普及啓発を目的とした密漁対策のウェブサイトを運営しているほか、ポスターやパンフレットを作成・配布すること等を通じ密漁の防止を図っています。
また、悪質な密漁が行われているアワビ、ナマコ及び全長13センチメートル以下のウナギは「特定水産動植物」に指定されており、漁業権や漁業の許可等に基づいて採捕する場合を除いて採捕を原則禁止とし、これに違反した場合には、3年以下の拘禁刑又は3,000万円以下の罰金が科されることになります。さらに、密漁品の流通を防止するため、違法に採捕されたことを知りながら特定水産動植物を運搬、保管、取得又は処分の媒介・あっせんをした者に対しても密漁者と同じ罰則が適用されることになっています。
密漁を抑止するには、夜間や休漁中の漁場監視、密漁者を発見した際の取締機関への速やかな通報等、日頃の現場における活動が重要です。
取締りについては、海上保安官及び警察官とともに、水産庁等の職員から任命される漁業監督官や都道府県職員から任命される漁業監督吏員が実施しており、今後も、関係機関が連携して取締りを強化していきます。

〈違法に採捕された水産動植物の流通の防止に向けた取組〉
違法に採捕された水産動植物の流通を防止するため、水産流通適正化法により、漁獲番号等の情報伝達、取引記録の作成・保存等が義務付けられています。国内において違法かつ過剰な採捕が行われるおそれが大きい水産動植物であって資源管理を行うことが特に必要なものを「特定第一種水産動植物(アワビ、ナマコ及び全長13センチメートル以下のウナギ*1)」と定義し、違法漁獲物の混入を防ぎ、万が一混入が確認された際には取引記録等を追跡調査し、流通の適正化を図っています。さらに、国際的なIUU漁業防止の観点から本法による輸入規制を講ずることが必要な水産動植物を「特定第二種水産動植物(サバ、サンマ、マイワシ及びイカ)」と定義し、輸入時に適法に採捕されたものであることを証する外国政府が発行する証明書の添付を義務付けることで、IUU漁業由来の水産物の我が国への流入を防いでいます。
また、令和8(2026)年4月1日から、漁業法及び特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律の一部を改正する法律*2が施行され、個体の経済的価値が高く、特に厳格な漁獲量の管理を行う必要があると認められる水産資源(特別管理特定水産資源)等を「特定第一種第二号水産動植物(太平洋クロマグロの大型魚)」と定義し、取引時の情報伝達や取引記録の作成・保存の義務付けを行うことで、漁獲量等報告の義務に違反した漁獲物の流通を防止することとしています(図表3-15)。
- 全長13センチメートル以下のウナギについては、令和7(2025)年12月から適用。
- 令和6年法律第66号

図表3-15 漁業法及び特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律の一部改正後の制度の概要(太平洋クロマグロの大型魚)

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