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水産庁

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(3)漁業の就業者をめぐる動向

ア 漁業就業者の動向

〈漁業就業者数は11万4,820人〉

我が国の漁業就業者数は一貫して減少傾向にあり、令和6(2024)年の我が国の漁業就業者数は、前年から5.4%減少し、11万4,820人となっています(図表2-9)。

漁業就業者数の総数が減少する中で、近年の新規漁業就業者数はおおむね1,700人程度で推移しています。令和6(2024)年度は1,754人となり、前年度の1,733人から1.2%増加しました(図表2-10)。新規漁業就業者数のうち、39歳以下の割合は約6~7割で推移し若い世代の参入が多く占める傾向が続いています。

新規漁業就業者数について就業形態別に見ると、雇用就業者数は令和6(2024)年度が1,071人であり、前年度の1,150人に比べ6.9%減少しました。他方、独立・自営を目指す新規就業者は令和6(2024)年度が591人であり、前年度の576人に比べ2.6%増加しました。

図表2-9 漁業就業者数の推移

図表2-10 新規漁業就業者数の推移

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漁業就労の情報提供Webサイト「漁師.jp」(一般社団法人全国漁業就業者確保育成センター):https://ryoushi.jp/

イ 漁業における海技士の確保・育成

〈漁業における海技士の不足等に対し早期の資格取得の取組を支援〉

20トン以上の船舶で漁業を営む場合は、漁船の航行の安全性を確保するため、それぞれの漁船の総トン数等に応じて、船長、機関長、通信長等として乗り組むために必要な海技資格の種別や人数が定められています。

海技資格を取得するためには国土交通大臣が行う海技士国家試験に合格する必要がありますが、航海期間が長期にわたる遠洋漁業においては、乗組員がより上級の海技資格を取得する機会を得にくいという実態があります。また、就業に対する意識や進路等が多様化する中で、水産高校等の卒業生が必ずしも漁業に就業するわけではなく、これまで地縁や血縁等による採用が主であったことと相まって、漁業における海技士の高齢化と不足が深刻化しています。

海技士の確保と育成は我が国の沖合・遠洋漁業の喫緊の課題であることから、関係団体等では、必要な人材を確保できないために操業を見合わせざるを得ないことがないよう、漁業就業相談会や水産高校等への積極的な働きかけを通じて乗組員を募るとともに、乗船時における海技資格の取得を目指した計画的研修の取組や免許取得費用の助成を行っています。

また、政府は、水産高校卒業生を対象とした4級及び5級海技士養成のための履修コースを水産大学校に設置し、海技士試験の受験に必要な乗船履歴を早期に取得できる取組を行っており、これにより、水産高校卒業生の早期の海技資格の取得を支援しています。

ウ 女性の活躍の推進

〈漁業・漁村における女性の一層の活躍を推進〉

女性の活躍の推進は、漁業・漁村の課題の一つです。海上での長時間にわたる肉体労働が大きな部分を占める漁業においては、就業者に占める女性の割合は約10%となっていますが、漁獲物の仕分けや選別、カキの殻むきといった水揚げ後の陸上作業では約34%、漁獲物の主要な需要先である水産加工業では約58%を占めており*1、女性がより大きな役割を果たしています。このように、漁業・養殖業では男性による海上での活動がクローズアップされがちですが、女性の力は水産業に必要不可欠な存在となっています。

一方、女性が漁業経営や漁村において重要な意思決定に参画する機会は、未だ限定的です。例えば、令和6(2024)年の全国の漁協における正組合員に占める女性の割合は5.7%となっています。また、漁協の女性役員は、全体の0.5%にとどまっています(図表2-11)。

  1. 農林水産省「2023年漁業センサス」

図表2-11 漁協の正組合員及び役員に占める女性の割合

令和8(2026)年3月に閣議決定された「第6次男女共同参画基本計画」においては、農山漁村における地域の意思決定過程への女性の参画の拡大を図ることや、漁村の女性グループが行う起業的な取組等を支援すること等によって女性の経済的地位の向上を図ること等が盛り込まれているほか、水産業協同組合法*1において、漁協は、理事の年齢及び性別に著しい偏りが生じないように配慮しなければならないとされています。

漁業・漁村において女性の一層の活躍を推進するためには、固定的な性別役割分担意識を変革し、家庭内労働を男女が分担していくことや、漁業者の家族以外でも広く漁村で働く女性の活躍の場を増やすこと、さらには、保育所の充実等により女性の社会生活と家庭生活を両立するための支援を充実させていくことが重要です。このため、水産庁では、水産物を用いた特産品の開発、消費拡大を目指すイベントの開催、直売所や食堂の経営等、漁村コミュニティにおける女性の様々な活動を推進するとともに、子供待機室や調理実習室等、女性の活動を支援する拠点となる施設の整備を支援しています。

また、平成30(2018)年から活動している「海の宝!水産女子の元気プロジェクト」は、水産業に従事する女性の知恵と多様な企業等の技術、ノウハウを結び付け、新たな価値を生み出し、情報を社会に広く発信することで水産業に携わる女性の存在感と水産業の魅力を向上させるとともに、女性にとって働きやすい水産業の現場改革を後押しすることを目指しています。これまでも、同プロジェクトのメンバーによる講演や企業等と連携したイベントへの参加等の活動が行われています。このような様々な活動や情報発信を通じ、女性にとって働きやすい水産業の現場改革及び女性の仕事選びの対象としての水産業の魅力向上につながることが期待されます。

  1. 昭和23年法律第242号

事例海の宝!水産女子の元気プロジェクトの活動紹介

「海の宝!水産女子の元気プロジェクト」では、水産庁が事務局となり、全国にいる水産に関わる多様な業種・幅広い年齢層の女性が145名、また本活動に賛同する企業が12社、本プロジェクトに参加しています(令和8(2026)年3月現在)。

1) 全国の水産女子メンバーとの交流を通して、水産業界における女性のつながりを強化すること2) 講演活動やイベントへの参加で、女性も活躍できる水産業界について伝えること3) 参画企業との連携により女性目線での商品等を創ること、により「水産業」全体の魅力向上に努めています。

令和7(2025)年6月には、2025年日本国際博覧会(以下「大阪・関西万博」といいます。)におけるイベント「RELAY THE FOOD~未来につなぐ食と風土~」の一環として、万博会場内にあるポップアップステージにて「水産女子と学ぶ!水産業の魅力」と題して、4名の水産女子メンバーによる各自の取組について講演を行いました。

また、令和7(2025)年8月には、第27回ジャパンインターナショナルシーフードショーにて水産女子セミナーを開催しました。セミナーでは「可能性の扉をひらく、ジェンダーギャップ解消とウエルビーイング」をテーマとした講演の後、3名の水産女子メンバーと「水産業における女性活躍の在り方と今後」についてパネルディスカッションを行いました。登壇した水産女子メンバーは「売れるものを作るには男女の垣根を越えて、みんなの視点が必要」、「女性にとって働きやすい職場は、男性にとっても働きやすい職場」などと話しました。

令和8(2026)年1月には、第9回水産女子プロジェクト推進会議を開催し、水産女子メンバーのほか、参画企業の方々や農林水産副大臣が参加しました。本会議では水産女子メンバー4、5人で構成されたグループによる活動報告を行ったほか、グループごとに分かれて意見交換を行い、新たな課題の発見や今後の活動目標の設定等に取り組みました。

今後もこれらの活動を続けていくことにより、自らの意欲と能力を発揮して前向きに取り組む女性を応援していきます。

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「海の宝!水産女子の元気プロジェクト」について(水産庁):/j/kenkyu/suisanjoshi/181213.html

エ 水福連携の推進

〈水福連携の取組の普及を推進〉

「水福連携」とは、水産業と福祉が連携し、障害者等の水産分野での活躍を通じて、水産業経営の発展とともに、障害者等の自信や生きがいを創出し、社会参画を実現する取組です。

担い手の不足や高齢化等が進む水産分野においては、水福連携に取り組むことにより、新たな労働力の確保につながることが期待される一方、障害者等にとっては水産業を通じた働く場や収入の確保に加え、地域との交流の促進等、生活の質の向上が期待されます。

令和6(2024)年に農福連携等推進会議において決定された「農福連携等推進ビジョン(2024改訂版)」では、農福連携等に取り組む主体数を令和12(2030)年度末までに1万2千以上とすることが目標として設定されました。水福連携についても、障害者等の安全面での配慮を図りつつ、障害者特性等に応じた取組を推進する必要があるとされており、養殖業や水産加工業等において取組の拡大が期待されています。

養殖業や水産加工業の分野では、障害者就労施設内や屋根のある養殖施設等室内でできる作業が多く、季節や天候に左右されずに働けるというメリットがあるため、取組の広がりが見られ始めています。例えば、養殖業においてはカキの養殖に使用する資材作成作業や陸上養殖業での給餌作業、水産加工業においては干物の袋詰め作業や海藻の異物除去作業等で連携の取組が行われています。

しかし、令和5(2023)年度に一般社団法人日本農福連携協会が実施した実態調査では、「水福連携に取り組んでおらず、今後取り組む予定もない」との回答が最も多く、その理由として「水福連携の理解不足」が多くを占め、現状では取組の全国的な波及も限定的なため、認知度の向上が課題となっています。水産庁としては取組の普及を推進するため、水福連携を始めるためのスタートアップマニュアルの作成や取組事例等の情報発信を行っています。

水産庁は、今後とも関係機関と連携しつつ、水福連携を通じた水産業の活性化と地域共生社会の実現を推進していきます。

事例水福連携の取組事例

神奈川県では、県内の水産業者と障害福祉サービス事業所等とのマッチングを支援するため、令和5(2023)年度から県内のNPO法人と協働で、かながわ水産業福祉連携推進事業を実施しています。

同事業においては、水福連携の意識を醸成するため、水産業者や障害福祉サービス事業所のスタッフ等を対象にした研修、水産業者と障害福祉サービス事業所等が出会うマッチングの場づくり、マッチング成立に向けた障害者等の現場体験等の取組が実施されてきました。その結果、水産加工品の箱詰め作業や封入作業、ワカメの乾燥作業等、令和6(2024)年度末時点で、県内で28件のマッチングが成立しました。

葉山町(はやままち)で行われている乾燥ヒジキのごみ取り作業は、事業を開始してから最初にマッチングが成立した事例です。県及びNPO法人の職員が葉山町の漁協(現・湘南(しょうなん)漁協葉山支所)を訪問して事業の説明を行った際、ヒジキ漁の漁業者が減少しており、加工作業を手伝ってくれる方がいると助かるという現場の声があったことをきっかけにマッチングへとつながりました。これまで漁業者が漁の合間を縫って行っていた作業を障害者に依頼することで、漁業者の負担が軽減し、空いた時間でより生産的な作業を行うことができるようになる一方、障害者は作業に慣れていく中で効率を上げることができ、工賃の向上や日々の活動の充実にもつながっています。

お問合せ先

水産庁漁政部企画課

担当者:動向分析班
代表:03-3502-8111(内線6578)
ダイヤルイン:03-6744-2344